そろそろワークスアプリケーションズについて書いておこう

”いきなりメッセ”の大半が「ワークスについて教えてください」

ありがたいことに相談の連絡をくださる方も増え、拙いながらもお話をさせていただいたりもする。その相談内容で3番目くらいに多いのが「ワークスアプリケーションズについて聞かせてください」というものだ。

さらに突如DMやメッセージでサプライズを仕掛けて楽しませてくれる方々の大半が「ワークスに入社パス(入社内定のようなもの)をいただいたのですが、ワークスのこと教えてください!」というものだ。若者は元気があってよろしい。

ただ私は残念ながら日頃から超早口なので、人と話す機会をいただいても、いつも話し終えた後「うまく聞き取れただろうか、真意は伝わっただろうか」と心配になるタチなので、ことワークスについての相談は基本的には受けないようにしてきた。

それでも若者の熱意は凄まじきものがあり、猛プッシュしてくる猛者からの連続コンボを食らえば「さすがワークスが見込んだだけのことがある」と感心する反面、いつまでも話さないでいるよりも、あくまで私一個人の観点として受け取ってもらえるのであれば、ちゃんとまとめておこうかな、と考えるようになった。

そして強調しておくが、いろんな人がそれぞれの観点で捉えるものなので、これはあくまで私個人の経験・価値観・感性から述べたものだと割り切ってもらいたい。私が勝手に述べているだけに過ぎないことをご留意いただきたい*1)

開発エンジニアとして入社し会社の課題を指摘していたら採用部門に

私は前職のワークスアプリケーションズに開発者として入社し丸1年開発を行った。そう、元々は人事給与システムのコードを書いていた。*2)

なぜ採用部門に異動することになったかといえば、当時、ワークスは上場後の次なる目標として第二創業と位置づけ、社員の採用を急激に拡大するというミッションを掲げてさらに強き組織に変容しようとしていたことを受け、私は広報部門のより効果的な稼働が急務であり人員が必要だと考え、それを提案した。そして「たしかに。そこまで言うなら君がやったらどうか」となり、開発から新設したばかりの採用広報に異動となった。*3)

海外のソフトウェア最優秀層の獲得へ奔走

しかし計算すれば、数は欲しいが採用基準は下げない、となると、国内の新卒採用をし尽くしたとしてもいずれすぐに全然足りなくなってしまうことに気付く。当時はまだ日本企業はどこも見ていなかった海外各国のトップ大学の大学生に着目し、中国・清華大学、インドIITs**4)などを含めた海外大生採用を立ち上げその最前線で走った。

一番最初の海外採用は牧野さんに直訴した。というか、週報に書いて稟議書書いて秘書にも言って、ついに牧野さんから「ほんまにやりたいんか?」と聞かれ色々一方的に答えたら「ならやれ」で決まった。*5)

稟議書には論理的に合理性についてきちんと書く必要があるので、合理性については説明ができる。しかし未踏の挑戦をする場合、それでも不安要素が残る。となるとそれでも完遂できるかどうかは、それに挑む当事者の覚悟・想いが重要になってくる。その後気付いたのは、あの時、その覚悟・想いを確認されてたんだな、と。

『失敗』自体ではなく『失敗のしかた』が重要

失敗もたくさんした。牧野さんから何度か怒られることはあったけれども、いつも失敗したことに怒られるのではなく、失敗の仕方について怒られてた。

予算に見合った成果が出なかったという失敗でも、当初では想定できなかった高い難易度の問題が実行中に見つかりその難局に対処するためにある程度の成果が犠牲になってしまった場合などは「しゃーないな」と励ましてくれた。

最も怒られた時というのは、自己保身的行動が招いた失敗のとき。怒られたときに初めて自らが保身に走っていることに気付いたくらい無自覚だった。あのとき怒られてなければその後も保身は続いたかもしれない。*6) *7)

常に牧野さんは怒っている。いや正しくは、社員に対しては ほとんど怒らない。牧野さんの怒りは、間違っている社会に対してへの憤りであり、解決できずに残っている問題そのものに対してへの不満である。

だから人に対してはすごく優しい。

牧野さんは、かっこいいリーダー。その凄さは直接会って感じるべき。エネルギーが違う。戦う勇気が湧いてくる。

万人向けではない会社だった

牧野さんは社員にはほとんど怒らないと言ったが、まあ、今になって思えば、期待されている社員ほど、牧野さんに怒られる度合いが強くなるのではないか、と考えるようになった。単なるポジティブ思考で言っているわけではなく、他の先輩社員に聞いてもそうだった。牧野さんは怒るときはかなり激しいので、怒っても成果が返ってこないのなら無駄には怒らないのではないだろうか。やはり本当は人には怒りたくないのだろう。無駄に怒れば見ている他の社員は当然萎縮してしまう。それでも怒るときは、そのリスクを上回る効果があるときか、何かお考えがあるときだろう。そう、牧野さんは恐ろしいほどに賢い。そして熱く優しい。

そんな牧野さんが「一緒に働きたいと思うほど優秀な人だけの会社にしたい」と言うからこそ、当時のワークスは万人にオススメできる会社ではない。単に優秀であるだけではなく、牧野さんが一緒に働きたいと思うようなほど優秀な人のみが活躍できることを理想とした会社だからだ。*8)

企業向けのソフトウェアなので、最近流行りの技術を追従することは最優先ではない。Railsは使わないし*9)、Swiftだって書かないだろう*10)。そういう意味で社員の技術に対する意識が高くない、という不満を社内にいるときから聞くこともあったが*11)、しかし一方で彼らが常により高い技術力を得るために努力をしてきたことを知っている。それ以上の期待をしている人からすればそれでも物足りなかったということだろうが、採用にいたときに協力してくれた開発者たちが奮闘してくれたことも知っている。現に高い技術知識を持った大学生を中国・インドから採用している。芽吹くのも近いだろう。*12)

では誰に向いているのか

とても都合いい回答のようで申し訳ないが「こういう人に向いている」と断言できない。正直わからない。しかし「自分に向いている会社はどこなんだろう?」と立ちすくんでいる人には向いていない、ということだけは分かる。

万人向けの会社に入って危なげなく人生を終えたい、と思う人は行かない方が良い。皮肉なことかもしれないが、そんな人は、この先どうなるかリスクが読めない来たるべき世界では非常に脆い存在になるだろう。人生を安全に生きるには、ある程度の危険な事象に対処できる能力を持っておく必要があるからだ。それでもワークスは嫌だ、と思う人も行かなくても良い。そんな人はそもそも私に相談なんかしにこないだろうし。あるいはワークスよりももっとハイリスクハイリターンな世界に行きたい、というのも結構。そう、所詮は自分自身で決めることなのだ。ソフトウェア開発ってものは常に高みを求めてどの業界よりも速く成果を出すことができることに魅力を感じられる人たちで溢れているべきなのだ。

ハイファッションな技術を使いたいなら他のソフトウェア会社に行った方が良いかもしれない。どちらかというと成熟した視点を持ち、社会の難解な問題を解決することに価値を感じる人はワークスは向いているかもしれない。自ら欲するものを取りに動く人にとっては良い会社だと思う。

大企業向け基幹業務パッケージソフトウェアを独立系として作る経験は他ではなかなか得られない。単にソフトウェア開発としてコードを書くにとどまらず、複雑に絡み合う機能を設計するためにも対象業務に対する深い洞察が求められる。極力、フェーズごとに分業せず、設計から実装まで一貫して担当し開発することができるのは他にはスタートアップくらいだ。*13)

ワークス社員の雰囲気が苦手、という人もいるだろう。それは入社したての新人のうちは独特なコミュニケーションをとりがちだったりすることが原因だ。その雰囲気が苦手と感じる学生、求職者は多いかもしれない。でもそれは彼ら新人がワークスに染まっていく過程で起こる化学変化のようなものであってまだ途中過程である可能性が高いので、その雰囲気を苦手と感じるなら、もう少し社歴の長い社員と話してみるといいかもしれない。

結局は、やはり今のワークスに直接触れるしかないのだ。私が辞めたのは5年前なので、当時と今とは何もかもが違っているかもしれないし、そういう意味では何も参考にならないかもしれない。それでも相談の連絡がくることを考えると書かずにはいられなかった。ごめんなさい。*14)

最後に、これを現職の採用担当の人が見て、もしインターンシップや採用募集のページへのリンクを貼ってほしい、と要望があれば連絡してもらえれば貼るので、言ってください。

注釈   [ + ]

1. もう辞めて5年も経つので「ワークスアプリケーションズについて教えてください!」という相談にお応えするのは心苦しいので、相談に乗れない代わりに記事を書いたら、なぜか「記事読みました!詳しくお話聞きたいです」というアプローチがかえって増えてしまった。一応、相談に乗りたくないので記事を書いたということで、「今時点でのワークスアプリケーションズの内部事情を知らないので正しく説明できない状態で、現在の状況と異なることを伝えてしまうなどという無駄な時間を費やしても互いのためにならないので、私の知っている中でお話できる限りの当時のことは全部とりあえず記事に書いたのでいきなり連絡してきて『相談のれ』と言われてもお応えできません」と強調しておく。もうやめて5年になるのだから、ワークスアプリケーションズにとって5年もあれば相当状況は変わっているはずで、当時のことを話すにしても記事に書いたこと以上のことは話せない。それとも「もっと書け」という社会からの要請なのだろうか。でももうきっと大したことは書けない。ワークスアプリケーションズにとっての5年はそれほどまでに長い時間のはずだからだ
2. しかしその後の採用部門の方が結果的に長くなってしまったので、当時の開発者としての私を知っている人はごくわずかかもしれない。
3. しかし辞令が出てからもすぐには移れず、重要なバージョンの肝部分を担当していたこともあり、なんとかリリースを経て3ヶ月後に異動となった。当時私は社内掲示板に「今日のポエム」と題して手の込んだフィクションニュースを書いていたこともあり、なかなか異動してこないことに対して、最後は、もしかしてこれもフィクションなのでは、とまで思われるようになっていた。
4. 工科系の最優秀大学群をこう呼ぶ。IIT BombayやIIT Delhiなど、IITとつく大学をまとめてIITsと呼ぶ。その少し下のランクにIIITsというのもある。それでもとても優秀な大学群である。インドは広く深い。
5. 当時はまさかそんな稟議書が通るわけがないと私以外皆が思っていたようだったのか、通った稟議書を持ってミーティングにて公表すると、皆不安そうな顔を見せていた
6. 中でも一番派手に怒られたのは『千原ジュニアの「シャインになりたい」(TOKYO MXTV)』の収録でやらかした失敗。当時3クール(1年半)放送した番組の担当もしていた私は、ゲスト学生100人を集めなければならない収録回で部署の後輩に任せっきりで8人しか呼べなかった。後輩に任せっきりにしたことを怒られると思って直前まで粘って学生を集めようと奔走したが結局集められず、そもそも事前に牧野さんに相談すれば100人入る収録スタジオを10人規模に変更できたはずでスタジオ費用が無駄になってしまったことに対して怒られた。後輩に任せっきりにしたこと自体は怒られなかった。後輩に任せっきりで失敗してしまったことで評価が下がるのでは、と思って報告しなかった保身に対して怒られたのだ。
7. ちなみにその『千原ジュニアの「シャインになりたい」(TOKYO MXTV)』の放送はYoutubeに上がっているので最後に貼ってある。制作会社・TV局には許諾済み
8. これはあくまでそう設計しようとしたのであって、必ずしもその理想が達成されたことを意味するわけではない。いまだ理想を追求し試行錯誤している最中ではないだろうか
9. Railsが最新技術という意味ではない。そしてRailsが劣っていると言いたいわけでもない。単に企業向け基幹システムには不向きであり、まず採用されることはないということだ
10. 研究開発部門の誰かが実験的に書いていることはあるだろうけれども。Python、Haskellなんかはお勉強のためのみならず社内ツールとして書いてたりした
11. 会社を辞めた人から聞くのはよくあるが、そういう人はどこの界隈にもいるものだ。何にだって不満を言って優越感に浸って自己満足したいだけで自ら解決しようとはしない人はどこの世界にだっている。この国は言論の自由が保証されている国なので自由に発言してもいいのだ。たとえそれが問題を解決することに繋がらなくても、発言すること自体は咎められるべきではない
12. ただ、言葉の壁という問題がないわけではない。元々国内マーケットに特化した製品での勝負に専念してきたので、人員リソースも自ずとドメスティック偏重になるのは仕方がないことだと考える。それでもそこは英語に集約することで対応できる領域が広がるのではないかとも考える。英語と中国語と日本語の中では英語に集約するのが定石だ。高度な技術論文などは圧倒的に英語で書かれたものが多いので、そういった点でも英語に合わせた方がより自然でもある。
13. ただ、スタートアップは会社がなくなるリスクによる多大なるストレスがかかることになる。資金繰りが不安定な場合も多く製品を思うところまで作り続けられるかどうかも分からない。
14. 人は自らで決めた意見にこだわりそれを強化する情報や意見ばかりを求めて援用する傾向がある。なので、ある程度決意が決まってしまう前にこういった記事を読むべきかもしれないが、結局はこれを今読んでいる人は、ワークスに入ることを決めている人か、社員だろう。それでもまだ決めきっていない人が読んでいる可能性はある。そんな人がこれを読んでどう決心するのか知りたいので、読んだ感想を聞いてみたいとは思う。

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