大反響「催眠」特集!うまく活かせばコーチングの効果を高める催眠について解説

心を読むよりも、体の感覚を読んで操れ。:催眠術

ここ最近、心理学系の本が増えた。
人の心を知りたいと思う欲求は、とても原始的な欲求で、 そして同時に不安の種でもある。
人の気持ちは知りたいのに、知れることは絶対にない。
知りたいと強く思えば思うほど、不安は増してくる。
人の気持ちなんて知らなくてもいいと開き直ることはできるが、その欲求は本能的なものなので、なくなることはない。
同時に自分の気持ちも他人には伝わらない。
他人が自分の気持ちを分かることは絶対にないのだ。

しかし他人の気持ちは分からなくても、他人が何をするかを予測することはできる。
多くの人は、頭の中で考える意図と、その意図がもたらす行動は一致すると思っている。
しかし実際には意図と行動は一致しない。
本人ですら、なぜそのような行動を取ったのか、説明できない方が圧倒的に多いのだが、大人になるにつれ自分を騙すようになり、後付けで意図を説明するようになる。
「きっとこういう理由があったから、自分はあのような行動をとったのだ」
と自分に言い聞かせるのである。
自分の行動ですらその意図がわからないのに、他人の行動の意図など更に分かるわけもない。

私たちの行動の大半は実は無意識が決めている。
私たちが意識できるものは、実はもうすでに無意識が決めていて、行動に移している瞬間に気づかされ、後付けでその行動の理由を思いつくことで、あたかも元々そのような意図があったかのように信じ込む。
あなたの考えや行動の大半はあなたの無意識が決めている。
そこに意図はあったのかと言われると、本音を言えば「分からない」となるだろう。
なぜなら今この本を読んで考えているあなたの意識というものは、あなたの無意識の領域に比べると、はるかに脆く薄い。
自分自身の思考のすべてだと思っているあなたの意識は、あなたの行動に影響を与えている割合としては、ほんのごくわずかなのである。
自分なら絶対にそのような意図を持つことがないと思っていたとしても、行動がその意図を支持するようなものだったとしたら、あなたは「これは何かの間違いだ」と言い逃れをしたり、「魔が差した」と考えるだろう。

催眠について解説したYoutube動画

なぜこんなことが起こるのかというと、あなたの意識が、あなたの無意識を勘違いしているからである。
無意識の力はとても強い。
そして無意識も考え、言葉を理解する。
あなたが自覚している以上に、あなたは無意識の力に頼っている。
無意識の力がなければこの本の内容を理解すること出来ないだろう。
読むことはおろか、言葉を理解することすらできない。
無意識というのは自動的にさまざまなことを行っている。
今この本を読んでいる時ですら、眼球は動き、漢字やひらがなの混じった文字を組み立てて、文を作り出し、視覚的なイメージを作り上げたり、抽象的な概念で文脈を把握しようとしたりしている。日常生活では無意識の力を意識することはあまりない。
意識しなくてもいいから無意識なのである。

この無意識という概念を世に広めたのは心理学者であるフロイトであるが、彼はまだ無意識というものをうまく捉えきることはできていなかった。
彼の持っていた価値観が、無意識というものの捉え方を歪めてしまった。
それであったとしても、無意識という概念を世に提示した彼の功績は大きい。
その後多くの心理学者や哲学者が、この無意識という領域に取り組んできた。
最近では脳神神経学や、認知科学の領域にまで、この無意識という概念は広く受け入れられている。
問題は無意識の問題だとわかったところで、なすすべはあるのだろうか。
「あなたには無意識という強い力がある」
と言われたところで、その力を操作できないのであれば、何の役に立つだろうか。

心理学では無意識の力を操作することはできない。
無意識の力によって行動が影響を受けることは分析できても、無意識に対して介入することは狙っていない。
無意識の力を操作できるのだろうか。
あなたは無意識の力を操作できたら、何をしたいだろうか。

結論からいうと、無意識の力はある程度なら操作できる。
そしてそれは誰でもできることではない。
特殊なスキルが必要である。
そのスキルとは、催眠である。

催眠術は誤解されている

テレビのパフォーマンスで催眠術をかけられたタレントが愚かな行動をとったり、派手なリアクションを取ったりすることで、本人が意図していないことを他人によって勝手に操られてしまうという、悪いイメージがついてしまった。
催眠のことを詳しくない人の為にあえて書いておくが、催眠は本人が嫌がることはできない。
正確に言えば本人の無意識が嫌がることはできない。
本人の無意識が拒否をすると催眠は効かない。
本人の無意識が催眠術師の指示を受け入れて、そして無意識が望んだことしかできない。
無意識が望んでいないことを、催眠によって操作することはできない。
催眠というのは無意識が望んでいることを行動に反映させるテクニックなのである。

催眠というものはよく深さで語られることがある。
完全に目が覚めていて意識がはっきりしている時というのは覚醒状態といい、意識の力が弱まり、無意識が活性化してくる状態を変性意識という。
変性意識に入り出すと、手が勝手に動いたり匂いを感じるようになったら視界が歪んできたりするようになる。
この状態をトランス状態と言い、催眠というのはこのトランス状態に導く行為であり、トランス状態で行為の描写をすると、体が勝手に反応するようになる。

なのでまずトランス状態に導くテクニックが必要で、そして指示を出して行動を起こさせる。
この時語りかけるのは相手の無意識に対してであって、意識に対してではない。
無意識は複雑なことが考えられないので、行動に対する明確な描写が必要となる。
「腕を上げてください」
ではなく、
「腕が上がっていきます」
と語りかける。
本人の意識が無意識に対して語りかけるように、催眠術師は無意識に大して語りかける。
トランス状態に入っていると、聴覚を通じて脳に入ってくる言葉を、自らの意識が内部で発した言葉なのか外部から入ってきた言葉なのか、無意識は区別がつかず、そのままを受け入れて行動を起こすことになる。

ここで重要なのは信頼関係である。
催眠にかかるということは、催眠術師を信頼しているということであり、逆に催眠術師のことを信頼していなければ催眠にはかからない。
ここに信頼という現象の本質がある。
信頼とは、無意識が相手の言葉を受け入れている状態のことであり、相手の事を疑っていればトランス状態に誘導されることもない。
トランス状態に誘導することをトランス誘導と言うが、被験者に信頼されていない催眠術師のトランス誘導は失敗する。
そのため、催眠になんてかかりたくないと思っている人は、催眠にかかりにくい。

予め、催眠というものに対する誤解を解くために、
「あなたの無意識が望んでいないことを指示することはできない」
と不安感を払拭し、警戒心を解き、
「催眠状態というのは極度のリラックス状態なのでとても気持ちが良く、催眠状態に入った後の夜はとてもよく眠れます」
と付け加えることで、催眠に対して積極的になってもらう、ということを行ったりする。
これら一連の前置きは、古典的な催眠術のかけ方であるが、効果はかなりある。
しかし実際には催眠というものに強い興味を持ちすぎる場合は、期待感が強すぎて逆に催眠にかからない、ということも起こる。
「もっとすごいことを起こしてほしい」
「すごいことを体験したい」
などと催眠に過剰な期待を抱いてしまった場合は、意識の層が働きすぎるので、かえってトランス誘導がしにくくなってしまう。
重要なのはリラックスをさせて信頼を得ながら少しずつトランス誘導を行い無意識の層に語りかけ、体が勝手に反応することを体験させ、徐々に催眠が効いてきていることを実感させていく。
それによってさらにトランスが深くなっていく。

トランスが深まっていくと知覚を歪ませられる。
味覚を変化させたり、視界を歪ませたり、触覚を変化させたり、痛みを消したり、幻覚を見せたり、記憶をすり替えたりできる。
古典的な催眠術というのは、トランス誘導をしてから暗示を与えていく。
暗示を与えた後に半分だけ覚醒させて、暗示が効いた状態を被験者に味わせる。
「腕が重くなる。腕をあげようと思っても絶対に上がらない」
といった暗示が効いていることに被験者は驚く。
腕が重くなって腕が上がらなくなる感覚を体験した被験者は、その腕が上がらない事実を受け入れざるを得ないので、よりトランス状態は深まっていく。
といった形で段階的に、トランス誘導し、暗示を入れて暗示の効果を被験者に体験させ、そしてまたトランス誘導によってトランス状態を深めていくことを何回か繰り返す。
するとその被験者の脳はトランス状態に入りやすくなるので、次からはさらに早くトランス状態を深められるようになる。
これが古典的な催眠のプロセスであるが、近代的なアプローチであるエリクソンメソッドでも本質的なメカニズムは同じであるが、明確にプロセスを区切ったりせずに全てを同時に織り交ぜて行なっていくところが違う。
なので私は催眠を用いるときはエリクソンメソッドで行う。

エリクソンメソッドはテクニック的にはかなり高度で、催眠のメカニズムを熟知してなければ扱えない。
エリクソンメソッドというのはミルトン・エリクソンという催眠療法家として知られる精神科医であり、心理学者である。
アメリカ臨床催眠学会の創始者で、その後の臨床家たちへの影響は大きい。

彼の催眠の技術は素晴らしく、多くの心理学者や臨床家たちを驚かせ魅了した。
見ている者からすると、一体いつ催眠を仕掛けたのかがわからないのである。
そして他の古典的な催眠療法家では、催眠をかけられなかった患者に対しても、催眠を施せた。
まさしく神業である。
私は彼の事を色々調べる中で、催眠のメカニズムについて興味を持ち、自らのコーチングの中に組み入れることを試していったが、その催眠のメカニズムを知れば知るほど、人間の精神構造や脳のメカニズムについても様々な気づきを得られた。

最近では、fMRIなどの登場で、私たち人間の脳がどのようなメカニズムで思考をしたり意識したりすることになるのか、の解明が進んでいる。
心理学が全く役に立たないとは思わないが、心理学を熟知したとしても、実社会でそれをそのまま活用することは難しい。
現実の世界はリアルタイムで変化をしており、人の心理というのもそれらの影響を受けリアルタイムで変化していく。
作られた実験室の中での心理実験の結果は、そうしたリアルタイムで変化をしていく世界に対しては思ったような形での再現はとても難しい。
なので心理学の研究から何かがわかったと発表があったとしても、実社会に対してはその効果はわずかだったりする。
なので私は、催眠の習得をオススメする。

催眠は広い意味では心理学に支えられている。
なので催眠を学ぶことは心理学を学ぶことにもつながる。
そして学問としての心理学とは違うのが、催眠は実践を伴う。
実践する中で心理学が言わんとしていたことが体験でき理解できるようになる。
なので催眠が使えれば人の心が操れるようになるという誤解は、自らが催眠を実践すればわかるだろう。
催眠で人の心は操れない。
しかし人の行動を操ることはできる。
そして私たち人間は、誰しもが心と行動が一致しない、というのが当たり前なのだと理解できるようになるだろう。

私が従事しているソフトウェア産業は精神疾患を患う確率が他の産業よりも高い。
うつ病や双極性障害、統合失調症などによって、多くの人が苦しめられている。
実際にうつ病を患ったことがある人はわかると思うが、体が動かなかったり、自分の意思に反して身体が動いてしまったり、と心と体が連動しないことはとても苦しい。
朝ベッドから起き上がれないのはその人が怠惰だからではない。
起き上がろうという意思はあるのに、体が非常に重く動かないのである。
これは厳密には心と体が連動しないのではなく、意識と無意識が連動していないのである。
意識は起き上がろうとしている。
しかし無意識がそれに反応しないか、逆の反応をしてしまっているのである。
脳神経学的な観点から考えると、意識の層に位置づけられている脳神経細胞からの指令が、無意識の層に位置づけられている脳神経細胞までうまく到達しないのである。
肉体そのものが疲労しているとか怪我や病気にかかっているというものではなく、脳の中で起こっている問題なのである。
意識と無意識のコミュニケーションがうまくいかず、本来自分が望んでいないようなことを考え出したり、思い出したり、感情の起伏が過剰に大きくなったり、逆に感情の起伏がなくなったり、無意識の層が、意識の層の言うことを聞かず、暴走を始めたり、全く反応しなくなってしまったりするのである。
催眠はそのようなメカニズムを理解するのに役に立つ。

そして実際に催眠によってそうした精神疾患の症状を緩和させることもできる。
催眠だけで完治まで持っていけるものではないが、苦しんでいる人にとってみれば症状が緩和されるだけでも希望を持てることになるだろう。

人の心というものを理解するうえで、催眠はとても強力なトレーニングになる。
人は自分が望んだことしかできない。
もし望んでいないことをしていると思っているとしたら、それは無意識の層が望んでいる状態にあることを、意識の層が「自分は望んでいない」と解釈しているのである。
だから意識の層が望んでいること全ては行動に移せるわけではないのである。
重要なのは無意識の層が望んでいることなのである。

無意識の層を変えたい場合は、行動をシンプルにして、何度も何度も繰り返し反復することだ。
そしてそのうち特に何も考えずにそれらの行為ができるようになってきたら無意識が習得したサインである。
これが習慣というやつである。
習慣の力は強いと言われるのは、無意識の力の強さを利用しているためである。

心理学について語られている本は多いが催眠について語られている本は少なく、そしてほとんど売れていない。
催眠に関して書かれた本を売るためには、 まるで魔法のように他人を操れるようなそんな期待をさせるような内容になってしまう。
これが催眠のイメージを歪めてしまう。
催眠は魔法ではない。
手品でもない。
我々人間の心というものが思っていた以上に複雑で、その複雑であることを暴いていくのが催眠である。
人が催眠術を見て驚くのは、人間の心がそれだけ複雑であることに驚くのと同じだ。
だから私は心理学だけを単体で学ぶよりも催眠を学んだ方が良いとアドバイスする。

私は催眠を用いるときというのは、精神的な重荷を外したり、バラバラになってしまっている意識と無意識のつながりを取り戻すために用いるべきだと考えている。
人を癒すために催眠を使うのである。
催眠はとても強力なテクニックであるがゆえに、悪用しようと考える人も多いだろう。
しかし基本的には大した悪用はできない。
しかし悪用しようと思えばできないこともない。
なのでもしこの本を読んで催眠に興味を持ち、催眠を習得したとしても、できれば人を癒すことにのみ使って欲しい。
あるいは自らの心理学への理解を深めるために催眠のメカニズムを体験するにとどめてほしい。
ただ断っておくが誰でも催眠ができるようになるわけではない。
催眠のメカニズム自体を説明して理解してもらうことは誰にでもできるが、実際に催眠というテクニックを実践で行えるかどうかは訓練も必要であるし、ある程度のセンスも必要になってくる。
古典的な催眠術であれば、繰り返し練習をすればできるようにはなるだろう。
しかし他者を癒す催眠というのはあのような形式ではなく、エリクソンメソッドのように、相手に寄り添って相手にとっての癒しを中心にアプローチをしていく方法の方が効果がある。

誰もが癒しを求めている。
そんな時代だからこそ、催眠を役立ててほしい。

催眠によって無意識の力への理解を深めよう。
無意識の力によって過去の自分を超えよう。
そして他者の無意識へも働きかけて、他者を癒そう。

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